デパートの「大江戸のれん市」で見かけてひと目ぼれし、大ふんぱつして買った「伊場仙(いばせん)」の扇子。扇子を買うのが精いっぱいでケースまで買う余裕はなかったので、はぎれを使って収納ケースを作ることにしました。
大事なものはケースに入れて持ち歩こう
伊場仙は1590年に創業した老舗の扇子店。「扇子と言えば伊場仙」と誰もが口にする名店です。暑さに弱い私はずっと気になってはいましたが、手に取って実際にあおいでみてから買うかどうか決めたいと思い、機会を待っていたところ、デパートの祭事コーナーで念願かなって出会えました。
なるほどな高級感、1,000円の扇子とはだいぶ様子がちがいます。実際にあおいでみると、軽く振っただけで嘘みたいに涼しくて感動しました。すぐ隣でもっと値段が安い扇子を売っていたので比べてみると、風の強さがまるで違います。
5,400円は大きく予算オーバーだったけれど、「これは私には必要なもの」と即決して購入しました。ケースも売られていましたが、さすがにケースまで買う余裕はありません。値段は忘れてしまったけれど、確か数千円だったような。
扇子の素材は紙と木ですから、むきだしのままバッグに入れているとすぐに傷みます。だから大急ぎでケースを作らないと、恐ろしくて持ち歩けません。
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ハンドメイドだからできるジャストサイズ!
扇子のように小さなものなら、とりあえずのケースは自己流で作れそうですが、相手は伊場仙の扇子。素敵な扇子を適当なケースに入れるなんて、扇子がかわいそうです。それに紙製の扇子は繊細ですから、ちょうどいいサイズに作らないと破れる可能性だってあります。
でも扇子ケースを作るためだけに新しい手芸本を買うのはもったいないから、図書館の本に載ってないかなと思って出かけてみたら、ラッキーにも扇子ケースのつくり方が載っている本がありました。
表紙をコピーしていないので確信はありませんが、多分この本です。
型紙の作り方や、2枚合わせでケースをつくるときの要点が分かりやすく解説されていて、とても参考になります。かかった費用はコピー代の 20円だけ。他にも参考になるレシピがいくつか掲載されていたので、正確にはもっとたくさんコピーを取りましたが、扇子ケースに関しては 20円です。
素材選びはハンドメイドの大事なポイント
今回もっとも重要なポイントは「素材選び」。着物で出かけると、こちらが思っている以上に周りから見られています。バッグから扇子を出す瞬間や、ケースに扇子を納める様子もチラ見されている可能性は高いです。だから高級感のあるケースにしたいなと思っていました。
扇子ケースを作るのに必要な布のサイズは25×10cm。これが2枚必要ですが、1枚は内側で見えないので、とりあえず1枚あれば大丈夫。はぎれケースを漁っていると、ぎりぎりそのサイズが取れる結城紬の残布がありました。しかも色がぴったり!
表はそれに決定。でも内側の布をどれにするかはすごく悩みました。実際に扇子に触れるのは内側ですから。
特に悩んだのが素材です。木綿にするか絹にするかを随分と悩みましたが、最終的に木綿にすることに。理由は「すべりにくさ」。絹のほうが通気性は高いですが、つるつるしてすべりやすいため、ケースから扇子がつるっと抜け落ちるんじゃ…と心配になったんです。そこで例のごとく、久留米絣のはぎれを使うことに。
作り方の参考になる本をコピーしておいたおかげで、失敗することなくスムーズに制作できました。作品にも大満足。
このケースを作ってから6年以上経ちます。扇子はいつもバッグに入れて持ち歩いていますが、扇子もケースもまだまだ現役。さすが伊場仙と結城紬、良いものは長く持ちますね。