久留米絣に限らず、着物や手工芸品の値段は分かりにくいものです。証紙が付いている反物ならまだしも、証紙がないいわゆる「B反」や、カット売りされているはぎれの善し悪しは、素人にはなかなか見分けられません。そこで、久留米絣の値段の目安をご紹介します。

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国の重要無形文化財「久留米絣」の値段

一概には言えませんが、1反50~80万円くらいの品をよく目にします。柄によっては1反100万円を超えるものも。この値札の価格はあくまでも「参考上代(メーカー希望小売価格)」です。

呉服の場合、いまでも掛け合いで値引き交渉をする習慣があり、長く売れ残っている品やシーズン品は値札の半額以下で買えるケースがよくあります。けれど紬や絣といった、流行にも季節にも左右されない定番品はそうはいきません。せいぜい値札の2~3割引がいいところ。

それもあくまで「長いお付き合いだから」とか、「そろそろ商品の入れ替えをしたかった」という、売り手側の事情があればの話。一方的に値引きを要求しても交渉するのは難しいでしょう。

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伝統的工芸品「久留米絣」の値段

こちらもかなり幅が広いです。重要無形文化財よりは安いという認識でいいかも。よく目にする価格は1反20~40万円くらいかな? 手を出しやすい10万円台のものもちらほらあります。

同じ10万円台の反物が4~5本並んでいる中から、好きなものをひとつ選べと言われたら、好みに合うものを選ぶでしょう。けれど、10~50万円の反物がごちゃまぜに並んでいて、「どれでも好きなものを選んでいいよ」と言われたら、選んだ反物にはほぼ間違いなく高い値札が付いています。

それくらい、絣織物の見た目と値段はかみ合っています。柄の複雑さかな?

残念ながら、パソコンの画面越しに眺めてもその差は分かりにくいですが、実際に手に取って見ると、織物に詳しくない人でもきっと「あれとこれはなんか違う!」と感じられるはず。

伝統的工芸品の証紙が付いていない手織りの「久留米絣」の値段

いわゆる「B反」とか「きずもの」と呼ばれるものです。でもはっきり言って、素人にはとうてい見分けがつかない程度の「傷」で、証紙の有無にこだわりが無いなら絶対におすすめ。

値段は「傷」がなければ幾らで販売する予定だったかによって変わるので、一概には言えませんが、同じ柄の証紙付き反物の半額程度が目安かな。「傷」の度合いによってはもっと安く買える可能性も。

B反は「絣の里巡り」というイベントに足を運ぶと出会える可能性が高いです。

機械織りの「久留米絣」の値段

この場合の機械は洋服幅の大きな機械ではなく、手織り用の機(はた)を自動で動かすというもの。布にあまり詳しくない人なら、手織りか機械織りか判別ができないほど、素朴な風合いに仕上がります。

この生地は着物用ではなく、最初から洋服や手芸目的で買われるもので、10cm単位のカット売りが一般的。値段にはやはり幅がありますが、だいたい1m 1,000~2,000円ほど。1反なら12,000~24,000円の計算です。オーソドックスなコーマ地の浴衣の反物と同じくらいの値段ですね。

ここまで読んで、以前からネットで見かけて気になっていた久留米絣の反物、値段が適当かどうか分からなかったけど、あれって安かったんだ!と思ってあわてて買わないように。

偽物かも、と言うのではありません。パソコン画面では技巧の判別が難しいということ。そして、値段が高いのにも安いのにも、ちゃんと理由があるんです。

久留米絣の洋服の値段は?

久留米絣は反物よりむしろ既製品の洋服のほうが最近では注目を集めています。久留米絣の洋服ブランドといえば「儀右ヱ門(ぎえもん)」が有名ですが、ワンピースを例にあげると下は2万円~上は10万円ほど。

値段が高い品はどれも手織りのはずですが、全ての商品が手織りというわけではありません。でも手織りなら製品タグかどこかに必ず「手織り」と書かれているはず。

それを考えると、手織りの久留米絣の古布を使ってリメイクしたワンピースが2~3万円の値段で売られているのは、高いどころかむしろ安いと言えるかも。手工芸品の値段は、結局のところニーズによっても大きく左右します。