裏地が付いているスラックスの股や脇が破れたとき、どうやって裏地をよけて表地だけ縫えばいいのか分からず、面倒だからと裏地ごと一緒に縫い合わせてはいませんか?それでも破れをふさぐことはできますが、生地を無理に引っ張っている状態になるため、またすぐに破れてしまいます。

表生地と裏地を分けて表地だけを補正することで、ふたたび破れにくくなり、見た目もきれいに仕上がります。

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はじめに裾をほどく(またはカットする)

2枚合わせの服が破れたときは、裾の縫い目をほどいて補正を行います。と言っても、なにも裾を全部ほどく必要はありません。手が入るくらい、あるいは破れ目をたぐり寄せて縫うことができるくらいの隙間があればいいので、10cmほどで十分です。

ただし今回補正するズボンはもともと裾が長すぎたので、この機会に裾をカットしてズボン丈も補正することにしました。

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解いた裾から破れ目をたぐり寄せる

通常は破れ目をたぐり寄せるのに苦労しますが、今回は裾をカットしたので、かなり補正がしやすかったです。ごらんのとおり破れがかなりひどかったので、どっちにしても裾を全部ほどいたほうがいいかなと思っていましたが正解です。

破れが2~3cmくらいなら裾を全部ほどくのは手間が増えてもったいないですが、破れている箇所や破れの具合に応じて、どの程度すそを解くか考えましょう。

このズボンは破れた後もしばらくそのまま履いていたのでますます破れがひどくなり、1cm近く縫い込まないといけませんでした。おかげでやや生地を突っ張っています。もっと早くに補正していれば5mm程度で済んだはずなので、ちょっと残念です。

 

股だけじゃなく脇も破れかかっていたので、さらに5mmほど縫い込みました。脇には飾りのラインが入っていたからミシンできれいに仕上げるのは難しかったので、ここは手縫いで補正することに。

 

↓補正後↓

なぜ男性のズボンは股や脇が破れるの?

補正が終わったらたぐり寄せた裏地をもとにもどし、裾の部分を元通りに仕上げて完成。仕上げるときに裏地が少々寄ってしまっても、表からは見えないし着心地にもたいした影響はないので気にしません。

都会暮らしで職場でも自宅でも椅子に腰かけた生活をしている方は、あるいは家族の「股ぱっくりズボン」に遭遇したことはないのかもしれませんね。

けれど我が家は田舎なので、家族は職場でも床に座ってあぐらをかいていることが多く、これまでに何枚のスラックスの股を補正したか分からないくらい、すっかり慣れてしまいました。

男性のズボンはなぜこんな風にパックリと股がやぶれるのかというと、原因は文化の問題です。日本の男性は床に座るときは「あぐら」をかくのが当たり前で、着物や作務衣はあぐらをかくのに適したデザインをしていますが、洋服はあぐらをかくことを想定したデザインにはなっていないため、スラックスを履いてあぐらをかくと、そのうち股がパックリと破れます。

高校生くらいの男の子も、やんちゃな子はよくやらかしますよね。衣服の西洋化が進んだ一方で、住生活は日本古来の床座の暮らしを好んでいると、こんなところにしわ寄せが来ます。

股パックリがあまりに続くようなら、裏地付きのズボンは買わずに、冬場は厚手の下着を履いてもらう方が楽かもしれません。